
2026年2月8日、和歌山県田辺市立図書館にて「読書しない読書会」を開催しました。
和歌山県教育委員会主催のもと14名が参加し、本の内容ではなく「なぜその本を選んだのか」を語り合いました。
アンケート回答率100%、全員が「また参加したい」と回答。新開発の「運営キット」により、ファシリテーター未経験者でも安心して運営できることを確かめられた回となりました。
「小学校でもやってみたい」——この一言が、何よりの成果でした

「本を選ぶ楽しさを再認識できました。小学校でもやってみたい。」
今回のアンケートで、この声を見つけたとき、思わず声が出ました。
「読書しない読書会」を続けてきて、いちばん嬉しいのは、参加者が「自分もやってみたい」「誰かに広めたい」と思ってくださる瞬間です。
この読書会の本質が伝わったんだな、と実感できるからです。
開催概要

- 主催:和歌山県教育委員会
- 日時:令和8年2月8日(日)10:00〜12:00
- 会場:田辺市立図書館(たなべる)
- 参加者数:14名

和歌山県では、2024年10月〜12月に紀南教育事務所がホストとなり県内3つの図書館で連続開催してきました。今回はその継続開催として、田辺市立図書館での実施です。
▼前回の開催レポート
正直、緊張していました

今回は、新たに開発した「運営キット」を本格的に使う初めての回でした。
和歌山県教育庁 紀南教育事務所社会教育課の協力を得て作ったこのキット。「ゲームのしおり」と「ほんねカード(50枚)」がセットになっています。
「これがあれば、ファシリテーター未経験の方でも安心して場を回せるはず」——そう信じて作りましたが、実際にどうなるかは、やってみないとわかりません。
結果は、ファシリテーターを担当した方のこの言葉に集約されています。
「運営をしながら感じたのは、カードがあることで安心してファシリテーションができる実感、です。」
この声を聞いて、本当にホッとしました。
運営キットのしかけ——「5つのステップ」と「5色のカード」
運営キットは、参加者が自然と「本との対話」を深められるよう設計されています。
ゲームのしおり:5つのステップ
「ゲームのしおり」は、読書会の流れを5つのステップでガイドします。
- 本との出会いを楽しもう
スマホや検索機をお休みして、感性の赴くままに書棚を散策。「いいな」と思った気持ちをそっと覚えておく - 選んだ理由を話そう
本を並べて、なぜその本を選んだのかをみんなに伝える - 本と仲良くなろう
カードの問いをきっかけに、本の新しい良さを見つける - 本と自分をつなげてみよう
本を、毎日の新しいともだちにする - 本と一緒に、新しい毎日へ
「選ぶ」ことから、もう読書は始まっている
ファシリテーターは、このしおりに沿って進めるだけ。「次に何をすればいいか」が常に明確なので、経験がなくても安心して場を回せます。
ほんねカード:5色・50枚の問い
「ほんねカード」は、参加者の言葉を引き出すための50枚の問いカードです。
5つの色に分かれており、それぞれ異なる役割を持っています。
| 色 | 役割 | 問いの例 |
|---|---|---|
| ブルー | 選書理由を言葉にする | 「この本を見て、パッと『気になった』ことは何ですか?」 |
| ピンク | 直感を掘り下げる | 「この本の『見た目』のどこに、一番心が反応したのでしょうか?」 |
| グリーン | 連想を広げる | 「この本が『扉』だとしたら、その向こうにはどんな景色が広がっている予感がしますか?」 |
| パープル | 参加者同士をつなげる | 「他の人が選んだ本を見て、『実はそれも気になっていたんだ』と共鳴したポイントはどこですか?」 |
| イエロー | 未来の自分とつなげる | 「10年後にこの本を棚で見つけたとき、今のあなたにどんな言葉をかけると思いますか?」 |
カードを引いて、話せそうな問いを選ぶ。このシンプルな仕組みが、「うまく話せない」というハードルを下げてくれます。
参加者の声——想像以上のことが起きていました

アンケート回答率100%。これだけでも驚きでしたが、書かれていた内容はもっと驚きでした。
「自分のことがわかった」

「選んだ本を言語化すると、あら、自分はこんなことを考えているの?と発見がありました。」
「普段本を読みません。今日、真剣に本を選びました。自分と向き合って、自分の好き嫌いが分かりました。」
本を選ぶだけで、ここまで自分と向き合えるんだ——改めて気づかされました。
「人とつながれた」

「テーブルの皆様の選書やお話が面白く、意外な共通点が見つかったりと、とてもワクワクする時間でした。」
「本を選ぶという作業が、その人の歴史を紹介しあえるきっかけになるんだなと思いました。」
初対面の方同士が、2時間後には「また会いたい」と言い合っている。この光景は、何度見ても嬉しいものです。
「本が読みたくなった」

「これから本を選ぶときは、今まで見なかったジャンルの棚にも足を運ぶことになりそうです。」
「読書は苦手ですが、選択するという第一歩は踏み出せたと思います。」
「読書しない」読書会なのに、結果として本への関心が広がる。この逆説が、この読書会の面白いところです。
そして、小学2年生の一言

今回は小学2年生のお子さんも参加してくれました。
「楽しかった!!なんかめっちゃしゃべった。みかんの白いすじは、アルベド。モノの名前じてんおもしろかった。」
子どもも大人も関係なく夢中になれる。これも、この読書会の魅力だと思っています。
開催を考えている方へ

ここまで読んでくださった方の中には、「自分たちの地域でもやってみたい」と思ってくださっている方もいるかもしれません。
もしそうなら、ぜひご連絡ください。
今回の和歌山での実践で、運営キットがあればファシリテーター未経験でも安心して開催できることがわかりました。開催に向けたご相談には、丁寧にお応えします。
読書離れ、地域のつながりづくり、子どもたちの主体性——いろんな課題へのアプローチとして、「読書しない読書会」を使っていただければ嬉しいです。


