これまで3年半で36回、読書しない読書会を開催してきました。
そこでいつも感じることは、選んだ本の理由をついつい話したくなってしまうこと。またそれと同じくらい参加者の話を不思議と聞きたくなります。
なぜだろう?と考えてみると、人は自らの意思で真剣に考えたことは人に話したいし、人となりが含まれた真剣な人の話というのは聞いてしまうのではないと感じています。
第36回目の読書しない読書会を例にあげると、
ミラノを旅してきた方が、TEDを見て感銘を受け旅のテーマの参考にした人が実は書籍「BIG MAGIC」を出していたことに気付いて買ったお話から、入社三年目ということで新人の教育を担当することになった方が、人事部について気になり「人事部は見ている」というストレートな表現が気になり購入したお話がありました。
他には「翻訳地獄へようこそ」という本に興味を持って購入してきた方もいました。
その理由は、まず本屋大賞「翻訳小説部門」の受賞本がすごく面白かったこと。
もともと、海外文学は、翻訳の合う、合わないによってあまり好きになれなかったこともあり、「翻訳」という行為自体への興味からこの本を選んだとのことでした。
読書しない読書会は、普段行かないコーナーに行くからこそ、周りの情報に流されず(といっても書店側からの情報に一定影響は受けますが、)に本を選ぶことができ、その理由には人となり(個性)が自然と現れます。
その人となりは、各々の視点と言い換えてもいいかもしれません。
いろんな視点、その人が経験してきたこと、考えていることが含まれる視点は、聞いている側にも新しい視点を与えてくれます。
今回でいえば、ミラノ旅での体験記(スリに狙われたなど)を聞くことができたり、新人に向けた教育・研修現場の現状を教えてもらえることもあれば、本屋大賞に「翻訳小説」という部門もあるんだという単純に知らない情報を知ることができました。
歳を重ねるほど、経験という自らの視点に当てはめて物事を考える事が多くなり、また立場や安心・安全を意識するあまり、失敗というものを恐れてしまうとなおさら自らの経験パターン内で過ごそうとしてしまいます。これらは生活する上で、エネルギー的に効率的な生き方であり、否定されるものでは当然ありません。
一方で、「普段とは違うことを考える」「新たな視点にふれる」ようなことをしないと感性は鈍り、また人生の幅が広がらないのもまた事実だと思います。
だからこそ時には「本」をきっかけに、いろんな視点に触れることで自らの感性を磨くような時間があるべきだと、本を選んだ理由を話す参加者の姿を見てると自然と思いますし、継続して参加頂いている方の変化からも感じとることができるようになってきました。
そういえば初参加の方から「最近、本についてお話できる人が周りにいなくて参加しました。」という参加理由が、今回はとても盛り上がる議題となりました。
読書しない読書会は、本との出会いでもあるので、好んで本を読む方が増えることにもつなげたいなという思いにもなり、ますます次回が楽しみになりました。
次回の読書しない読書会は、10月28日(日)に新宿ブックファーストを利用させていただき開催します。楽しく、人生の幅を広げたい方の参加をお待ちしています。
※peatixからも申し込み頂けます→https://peatix.com/event/435129/view